フェルデンクライスのレッスンは、「動き」という、筋骨格構造と運動・感覚神経系でリアルに感知できるもの、を通して、個人の「機能」全体を向上させていこうとします。
そして「動き」はその大きさには関わらず動きとして顕れる前のわずかな変化や目・舌の動きや呼吸でもその対象になります。
では「機能」ってなんだろうというと、一番シンプルに言えば、地球の重力の中でできるだけ効率的に体を使うこと、と、できるだけその人らしく社会と関わること。(フェルデンクライスさんの受け売り、だと思う)
レッスンには、タッチを通して行う個人レッスンと、言葉で動きを進行していくグループレッスンがありますが、どちらも、私から皆さんへという一方的な流れはありません。
私が何か正しいやり方や情報を、教えたり指導したり、ということではないのがフェルデンクライスのレッスンです。
皆さんにとってとことん個人的で新しい何かを発見してもらえるように、私は場を用意して、動きを促して、問いかける、それだけであろうとします。(できてるかなあ・・・時々そこを外れてしまいそうにはなります。要注意!)
今、新しいウイルスの影響下では、リアルに一緒にいること=リスク・禁忌、になっています。
こういう状況になる前から、すでにネット上ではいろんな交流が実現できるようになっていましたが、ではグループレッスンをオンラインで、ということを私はなんとなくできそうな気がせず、避けてきていました。
グループレッスンであっても、いま目の前の人がどうやって動いているかによって言葉を変えたり動きを少し足したり声がけのタイミングをはかったり、ということをしています。この人はこの動きをどこで努力をしている?何に気づいていない?呼吸は楽そう?のような小さな情報と私の言葉とでひそやかにキャッチボールをしています。
それがオンラインでは難しいなあと思っていたし、まだ思っています。
動きに顕れる小さくてリアルな皆さんの情報を、私がちゃんとキャッチできない気がするから難しい。
でもいま、ほんとうにひとりひとりの身体的な距離はすっかり引き離されてしまっています。しかも一時的なものではなさそうです。
レッスンを受けたくてもそこまで行けないという方もすでにいますし、場の設定自体もハードルが高くなっています。
じゃあやっぱり、オンラインもやってみないとなあ、とようやく遅まきながら思っています。
今の私でキャッチできる情報の範囲でやってみるしかないですけど。(意外とおおらかでよかった・・・とか、笑)
そして徐々に、目の前にいない人のこともたくさん気づけるようになっていければいいですね。
でも、あらためて思います。
リアルに出会うこと・交流すること・顔を合わすこと・触れること。その、今はいちばん怖いこと、それから実のところ私自身が根っこではずっと怖がり続けていること。時代に逆行するようなそれを、やっぱりもっと大切にもっと積極的に、やっていきたいなあ、と。こういう状況になってあらためて指向していることに気がついたのでした。
いろいろ、新しいレッスンの形を考えていきます。